米国で働くには
アメリカで働いてみたいという方は非常に多いと思いますが、やはりどうしても難関なのが米国就労ビザの取得です。就労ビザとは合法的に米国で働いても良いという権利で、米国移民局から米国内企業での就労を承認してもらうことで得られる権利です。米国で勤務するためには多くの場合、短期就労ビザ(H-1B ビザと呼ばれる)を取得する必要があり、この就労許可を得るためには自分が如何に米国の現地の人よりも優れているかを米国移民局に対して書類でアピールする必要があるのです。別の言い方をしますと、アメリカの現地で採用できない人材であることをアピールする必要があるのです。
米国企業から採用通知を貰い最終的に米国移民局から就労許可を得られれば晴れて米国で勤務できるようになるわけです。
職種によって就労ビザの取得ハードルが異なる
昔は寿司職人等の日本人でないとノウハウがないような職種の方は比較的容易に就労ビザが得られたようですが、今や中国や韓国の寿司職人も多く日本人でないと出来ないということはないため、容易に就労ビザを取得できなくなったそうです。実際に寿司店に行くと日本人ではない方々が寿司を握っています。
逆にコンピュータ技術者は特殊能力があるということで比較的就労ビザを得やすい職業のようです。また看護婦や医療関係者も比較的容易に就労ビザを取得できるとも聞きます。ただどの職種が就労ビザを得やすいのかは雇用情勢や経済状態等、様々な要因によって常に変化すると思われます。
米国で働く別手段としては、米国の学校(英語学校に語学留学したり米国の大学に入学する等)に入って卒業し、そのまま米国企業に就職するという方法もあります。この場合にはまず最初に語学留学のための許可を日本にある米国大使館で面接を受けて許可を得る必要があります。
米国で働くには米国企業からの就労ビザ取得サポートが必要
アメリカに支店のある国際企業や海外企業を買収した企業で子会社がアメリカ企業であるという方は海外転勤ビザというものが別途ありますので、就労ビザの取得ハードルは低くなります。企業内転勤の場合には E ビザという種類のビザを申請し、日本にある米国大使館で面接を受けて許可されれば渡米することが可能です。
しかし単独でアメリカで働くにはアメリカ企業に入社を受け付けてもらい採用してもらうと同時に米国企業から就労ビザの取得もサポートしてもらわなければなりません。
また米国企業に採用してもらうためには書類と電話インタビューで自己アピールする必要があるので、もちろん英語で自分をアピールする必要がありますので英語力はそれなりに必要です。もし希望する米国企業に既に日本人がいるのであれば多少は状況が異なるかもしれませんが、例え希望する米国企業に日本人がいたとしても米国企業は海外から採用する人の就労ビザをサポートしなければならないことは米国移民法で決められています。
米国企業はあまり就労ビザのサポートに積極的ではない
私は実際に米国企業で勤務しつつ、人事ではないですが様々な国々の出身の方々の履歴書をレビューしたり面接しています。また他社の方々とも様々な話をしている中で、多くの米国企業は就労ビザをサポートすることを好んでいないようです。もちろん海外から来られた方の中にはとても優秀で米国の現地では獲得できないような人材も当然おりますが、それでも就労ビザのサポートを積極的には進めていない企業が多いです(少なくとも私の周りの米国企業の方々は口を揃えて言っています)。以前のオバマ大統領政権下では移民政策に寛容で多くの移民が米国に来られています。しかし現在のトランプ大統領政権下では米国就労ビザが目の敵にされていると共に米国第一主義であるという点も大きいのですが、それ以前から米国企業の方々は就労ビザをサポートしたくないと言っていました。何故なのでしょう?
海外からの人材採用には米国企業の負担が大きい
米国企業が海外からの採用に消極的な理由として大きいのは米国就労ビザを企業がサポートすると、多額の費用を雇用主が負担しなければならないということだそうです。更にもう1つの理由は米国移民法が難解で弁護士を雇う必要があるという点でも費用負担が発生します。ですので米国には移民専門の弁護士が多数います。加えて米国企業側の事務手続きも非常に多く大きな負担となります。確かに私の場合、短期就労ビザを取得するために弁護士とも頻繁にやり取りし、その一方で米国企業側とも密に連絡を取り合って短期就労ビザ申請を行うための書類を長期間かけて揃えました。米国移民局は就労希望申請者個人の書類は勿論ですが、希望する米国企業の財務状況や従業員数等もチェックするため、米国企業のから膨大な量の書類が必要となっています。私もおよそ半年程度は書類集めに奔走しました。
必要な書類を準備し、いざ移民局に申請段階となると申請費用もそれなりに高額ですが、一部は米国企業が支払わなければなりません。米国移民局は法律に則り、本当に採用企業が申請費用を負担しているのかまで確認しています(銀行の振込情報まで確認していました)。
ただ Google や Amazon、Appple、Oracle 等のグローバル企業であれば社内に弁護士がいるようですし、資金力があるので費用負担も問題ないのでしょうが、中小の米国企業にとってはやはり負担が大きいのです。
米国企業の負担は大きいが海外採用してくれる企業もある
とは言うものの、米国企業の中には海外から優秀な人材を採用してビジネスを成功させようとする中小企業やスタートアップ企業も多いので、そういった会社に採用してもらうのも手でしょう。
当然米国企業の中には日本に進出することを狙っている企業もあるでしょうから、そういった会社は積極的に採用してくれるはずです。どうやってそういう会社を探すかは非常に難しいのかもしれませんが、海外の人材募集も取り扱っているリクルーターにあたってみるのも1つの方法かと考えています。
さらに別の方法として、日本の国際企業に就職して海外転勤を狙う方法もありますね。企業のホームページで海外支店をチェックし米国に視点があるかどうか確認してみると良いと思います。
米国移民局から就労ビザを得られたら
晴れて米国企業から採用通知を貰い米国移民局から就労許可が得られれば、最終段階である日本にある米国大使館で面接を行い合格すれば、あとは渡米するのみです。もしご家族をお持ちであれば、ご家族も同時に米国滞在許可が得られますので一緒に渡米することが可能です。但しご家族には就労許可はありません(短期就労ビザである H-1B ビザの場合)。ですが将来永住権申請をしたりすることで就労許可は得られます。