Firefox55 以降では Selenium IDE が動かない (代替ソフトは?)


Selenium 公式ブログでの発表

2017年8月9日の Selenium 公式ブログの発表(英文)では、Firefox 55 以降のバージョンで Selenium IDE はもはや動かないと発表されています。

https://seleniumhq.wordpress.com/2017/08/09/firefox-55-and-selenium-ide/

Selenium IDE はブラウザでの操作を記録し、記録した動作を自動実行出来るツールです。

各種自動化やシステムテスト等において大変重宝されているツールなのですが、残念ながら Firefox のバージョン 55 からは動作しないことが Selenium 公式サイトで発表されました。


Selenium が動作しない2つの理由

先の Selenium 公式ブログによると、次の2つの理由により Firefox 55 以降で Selenium IDE がもはや動作しないと発表されています。

理由その1)Firefox の技術革新による理由


ブラウザは常に進化し続ける複雑なソフトウェアで、Modzilla (Firefox を開発している団体) は常に Firefox ブラウザを高速かつ更に安定動作するよう常に努力し続けてきています。

Firefox ブラウザはパッケージ(拡張機能)をインストールするために “XPI” (Cross-Platform Installer Module) という独自フォーマットをサポートしています。

しかしブラウザの柔軟性と拡張性を保つための一環として、Firefox 開発チームは “Web Extension” という新しくて世の中で広く採用されている新しい仕組みに切り替える作業を進めています。

理由その2)Selenium プロジェクトの人材不足


前述の利用技術の変更に伴い、Selenium プロジェクトでも Selenium IDE で使用している “XPI” から “Web Extension” への技術の切り替えを行う必要が出てきました。

しかし実際にその作業を行う人材不足、具体的には開発に従事する時間やエネルギーが不足しているとのことです。

Selenium は最も広く利用されているテスト用のソフトウェアです。しかしながら開発チームに属する開発者の貢献は非常に小さいのです。実際に開発者を11人抱えていますが 2017 年当初からのプログラム変更数は10件だけで、さらに10件の変更の半数以上は2名の開発者だけでした。

しかも 2016 年以降、たった一人の開発者だけが Selenium IDE をメンテナンスしているとのことです。プロジェクトを進行していく上で非常に深刻な状況であることが分かります。


今後の方向性


では今後何が出来るのかとして、公式ブログでは次のように3つのことを述べています。

今後その1

1つ目として、昨今は非常にたくさんのツールが存在しますので、他のツールを探すという選択肢があると言っています。

今後その2

2つ目は、Firefox のみならず様々なブラウザに対応すべく、近代的な API を使って Selenium IDE を作り直すことであるとも述べています。これは Applitools という企業に所属する人々が支援してくれているとのことです。

今後その3

そして3つ目は、あなたが Selenium を助けることであると述べています。


この発表によって Selenium IDE を助けようとする支援者あるいは開発者が現れれば、開発は進んでいく可能性もあります。


代わりとなるツールは?

ではその代わりとなるツールは存在するのか調べてみたところ、現状では Chrome ブラウザの拡張機能である次の2つが選択肢になり得るかも知れません。

Pale Moon

このブラウザは非常に多くの Firefox プラグインをサポートしています。

http://www.palemoon.org/

とても活発に開発が行われていますので、最も有望な代替ブラウザになることが予想されます。

iMacros for Chrome

このツールは Chrome ブラウザでの操作を記録して再生してくれる拡張機能です。
インストールは下記リンク先でインストールします。

iMacros for Chrome




Kantu Browser Automation

このツールも Chrome ブラウザの操作を記録して再生してくれる拡張機能です。
インストールは下記リンク先でインストールします。

Kantu Browser Automation



今回の Selenium IDE の開発停止に伴い、今後他にも様々な代わりとなるソフトウェアが出てくるものと考えられます。